カラスの習性
1)生態
日本には、大陸系のハシボソカラスと、南アジア系のハシブトカラスが生息しています。
山間部ではハシボソカラス、都市部ではハシブトカラスが多く見られます。通常は樹木をねぐらとしていますが、繁殖期間はイチョウやくすのきの高木や街路樹また高圧線の鉄塔やビルの広告塔の裏あるいは学校や野球場の照明塔などの高所に営巣を行います。
カラスの繁殖は普通3月中に営巣を終え4月中頃に産卵する。1日1羽づつ4〜5個生みます。童謡ではカラスの子は7つであるが、実際にはそんなに多くはありません。産卵後は雌親によって約20日間抱卵されて孵化します。さらに2週間にわたり抱雛します。雛の巣立ちは孵化後約1ヶ月です。カラスの子育てはおおよそ4月から7月までです。
カラスの巣は直径50〜60センチの外巣とその中央の約15〜20センチ大の産卵や抱卵のための産座からなります。
送電線鉄塔の巣材としては、小枝、針金、有刺鉄線、ミカンの網袋、シュロ縄、ビニール紐、ビニールテープ、使い捨ての針金製ハンガー等が用いられている。都市部や海岸線が近くになるにつれて針金が多く利用されている。
またカラスはダミー(擬巣)の存在があるので1箇所に1個の営巣をするとは限らない。
2)なわばり
一般に有限性、安住性を備えた行動圏を持ち’なわばり’も行動圏の一部である。行動圏内は同じカラス、異種の鳥類を寄せ付けない攻撃的な鳥である。特に巣から半径200m程度以内に餌場がある場所を選び営巣し、最大半径450m程度の’なわばり’範囲があると言われている。雛鳥の巣立ち後’なわばり’防衛意識は弱くなる。
3)雛鳥巣立ち後の行動
巣立ち後、繁殖地付近で生活し8月頃には50〜500羽程度の群れを成して一定のねぐらを持つようになる。秋には500〜5000羽単位の群となり’ねぐら’を山中の森林とし、朝’ねぐら’を飛び立ち平野部の採食地へ向かい、夕方’ねぐら’に戻る生活を続け、翌年2〜3月頃に群れから各’つがい’が分散し繁殖に入る。
4)生活、食性
生活域は一般的に、農作地、河原、港、観光地、ゴミ捨て場で常に人と生活を共にしている。又、雑食性で家畜の飼料、残飯、小動物等廃棄される物は何でも食べ、雑穀の豊かな集落地、田畑付近に集まり易い。
5)知能他
・カラスの目は良く見え、知能が発達している。
・鳥害防止用威嚇にはすぐ馴れる。
・音で脅かしても一時は逃げるが、直ぐに戻る。
・板屋根等に損傷を与える。
・貝、木の実を高所から落とし割って食べる。
・生活様式に順応性が高い。
・視覚・・・アルミ、ダミー、金属等は短期間の効力はあるが馴れる。
・色彩感・・・赤色、黄色を認識し、青色に反応が弱い。
・聴覚・・・可聴範囲300〜80000HZ程度の範囲。(人とほぼ同じ)
・臭覚・・・乏しい。
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